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フランス古着とフレンチシック(こらむ)

パリ アンティーク 看板 フランス

古着はフランス語でフリペ(fripes)。辞書や直訳では 古い洋服(vieux vêtements)という言葉もあるがまさにニュアンスは「古い洋服」で日本語同様「古着」という日常会話ではあまりつかわれない。

さて、ここではそんなフラ語(ふらんす語)学習のコーヒーブレイク(英語 coffee break、フランス語 la pause café )的に女学生がご興味ありそうなレトロなフレンチファッションの話題をひとつ。

(90年代頃の筆者の体験談)管理人がフランスに滞在したのは90年代。最近の学生さんにすれば生まれる前の平成レトロかもしれない。そんな当時のフランス古着のエピソード(パリジェンヌの友人の話や小生の体験)からフランスのファッションでよく話題になる「フレンチシック」って何だろか?と少し綴ってみたい。

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フレンチシックとは?

古着(fripes)とかけてフレンチシックと解く、その心は?
なんて、落語のなぞかけか。

おそらく、フレンチシックに興味のある皆さんは既にお気づきかもしれません。古着やアンティーク、そしてレトロといったモードとフレンチシックは深い関りがある。

古着やアンティークとフレンチシック

フランス人にとって古着やアンティークとフレンチシックは相当深い関りがある。これはもちろん日本でも以前から女性誌などで紹介もされておりご存じの方も多いだろう。ただ筆者が昔おつきあいしていたパリジェンヌ(こう書くとちょっと洒落臭い昔話で恥ずかしい汗。だが一応事実だし小生のような輩※中年男が女性ファッションについて書くには多少こうした裏付けも必要かと思うので申し添える次第(;^_^A)…。さてそんな元パリ娘はやはりそれなりにお洒落だったがとにかく普段着は古着がほとんどとのことだったので驚いた記憶がある。

「フレンチシック」って何?

「フレンチシックと称されるように、フランス女性のファッションは、無造作なのになぜか素敵。肩の力が抜けているのにどこまでもエレガント。」
(参考)参考記事:🔗「フランス人のファッションから学ぶ「服を何着持つか」より大切なこと」クーリエジャポン(courrier.jp)🔗

「フレンチシック」って何だろる?なんじゃらほい

日本ではもうおなじみのフレンチシックという言い回し。一般的には、無造作・自然体だけどもシックでエレガント、といったニュアンス(意味合い)か。

例えば、由緒あるクーリエジャポンなどのファッション雑誌での紹介では、「無造作なのになぜか素敵。肩の力が抜けているのにどこまでもエレガント。」とこちらもすばらしく端的にご紹介くださっている。(それにつけても女性誌の文章はまさに本質をシンプルなことばで表現されていてすばらしいと感嘆。)

なるほどなぁと私も同感。個人的には(やや僭越ながら)もうひとつ「本質的(フランス語 essentiel)」というポイントもあるような気もする。彼女たちフランス女性は、流行にも敏感だけど、本質を見る、というセンスに長けているのではと思う。

(※「本質的」エッセンシャル(フランス essentiel)」と似た言葉でたしか00年代頃に日本でもオーセンティック(フランス語 Authentique、意味「本物の」「正真正銘の」)というたぶんファッション用語も巷で流行った記憶がある。おそらくこちらは米国西海岸経由のサーフファッションなどを当時のセレブが愛用していたことなどから。流れ的には90sグランジがカートコパーン没等で一旦尻すぼみしてややサーフ系ナチュラル&クリーンなひかえめグランジとしてテン年代にリバイバルしたような…なんて素人目線だが要はフレンチシックとはやや違うのかも。)

とはいえ「フレンチシック」って具体的にどんなスタイルだろう。

管理人も実はむかし古着にハマった時期もある。高円寺にはフレンチ古着専門店などもありなんとなく雰囲気は感じる。

ただ、日本人として自分もなじみ深い「フレンチシック」という言葉。だが、個人的にフランス人からはあまりフレンチシックという言葉は聞いた印象がない。少なくとも私が昔つきあってたパリ女子からは、たぶん一度も聞いたことがない。(シックといえばナイルロジャースほぼ一択。)

90年代当時のパリでフレンチシックという表現は筆者の限られた経験では聞く機会が少なかった。だがそう表現するのがぴったりというモードスタイルはもちろんあるようで。それらを彼女らの話でよく聞いたのはたしか「Basic」という表現※。

いずれにせよ、女性には関心のありそうなフレンチシックにまつわる話題。件のパリジェンヌから聞いた話から90年代パリでの「Basic」なるスタイルについてもう少し具体的に書き留めておこうかと思う。(小生も記憶が退化しているので備忘用💦)

(実はこうみえてアンティークフランス家具なども所有しており…むかしは職場の女性の先輩方からシャビィ感がどうの、出張の時はランコム買ってこいだの…余計な知識を詰め込まれた新入社員時代の多少のムダ知識もある。失礼、笑)

(※余談だが、フランス口語の用例的には、要は英語の使い回しだろうがもしかしたらこの「Basic」という言葉が90年代当時のパリでは日本語でいう「フレンチシック」の表現だったかもしれない。だがあまりスラング辞典にも載っていないし、そもそも筆者はただのいちフランス語学習者で、仏口語研究うんぬんや最近のパリ事情などなどほぼ疎いので、あくまで90年代パリでの僅かな用例ということで。もちろん日本人としてややわかりづらい。むしろ日本語の「フレンチシック」のほうがうまい表現のような気すらする。)

パリジェンヌから聞いた話(90年代パリ一例)

以下、あくまで筆者のつたない体験談ながら、90年代パリ女子から聞いた「Basic」なるモード(おそらく日本流にいえば彼女たちのフレンチシックのような)スタイルについてざっくりポイントをまとめ。

パリジェンヌから聞いたフレンチシックのポイント(90年代パリの一例)
1.基本、無地。
2.柄より生地
3.ワンポイント・紫系
4.古着・アンティーク

1.基本、無地。

これはいわば、前提というか、ベースというか、とにかく、服の柄は「基本、無地」と言っていた。

もちろん、ツイードやスウェード地など、素材自体はやはりひと工夫しているものが多い。いわゆる「柄」ものはワードローブに1割未満。

(逆に残りの1割というかほとんど1点モノの柄物、例えば花柄などは、とことんキッシュな物。祭り用だといってたなあ。)

※こんなこと書き記してると我ながら未練がましいようでキモい気もするが…あくまでモード事例ということでご容赦を(;^_^A

ボーダー柄について(※一個人の体験談)

ちなみに、当時仏滞在中もうひとつ不思議に思ったのがボーダー柄。
よく日本人がイメージするボーダー柄にベレーなど。
当時はパリではあまり見かけなかった。

(もちろん当時の私もそこまでステレオタイプでないにしろ少しはそういう恰好の人もいるだろうと想像していたが実際はほぼ皆無に近いほど見かけなかった。)

ただ誤解なきよう書いておくが、フレンチシックやボーダー柄など日本的なフランスファッションはとてもいいと思う。個人的にもボーダーシャツの女性はさわやかなおしゃれさんとして憧れの的。

たとえ、フレンチシックが和製としても、フランスのジャポニスム(フランス語Japonisme)と同じように、文化交流の良い例だと思う。

ベレー帽

 ちなみに、ボーダー柄以外に昔のレトロなフレンチシックのアイテムでよく連想されるベレー帽も小生は大好き(なにせアメリカ女優さんですがジーンセバーグと聞くだけで思考が中断するくらいのヲタ…おっといかん。)多分マルセイユあたりでは見たかもしれない…スイマセン記憶が曖昧。日本では昔「濱トラ」なんて言葉も昔はありました。一応横浜出身の私にとっては元町や逗子、葉山のイメージ。でもこの投稿はパリの話題で、話ややこしくなるので南仏やコートダジュールの話はまた別に。

2.柄より生地

そんな柄物より無地を好む当時の彼女らパリジェンヌが服を選ぶときに気にしていたのは柄より生地ということだった。

一緒にパリの蚤の市や古着屋などに連れていかれた。似たような服で、何をそんなに真剣にあれこれ引っ張ったり触ったりしてるかと聞くと、生地が違う、とのこと。とくに古着は年代が…などやたら熱く語っていた。

3.ワンポイント・紫系

ただ、そんな無地や生地(布地)などシンプルで上質かもしれないがそれだけだと一見ではやや質素すぎて地味な印象をもたれるかもしれない。ここで彼女たちの工夫で上の2点同様もしくはそれ以上に拘っていたのがワンポイントのアクセント。

あまりジュエリーや着飾りはしない彼女だったがどこかにアンティークのブローチや祖母や母譲りの指輪などは必ず身に着ける。(一見なにがどうかわからんので無視というか気づかずスルーしているとよく怒られた。)

ジュエリーでも(おそらく人によりけりだが)もちろんフランスでもシャネルの本場なのでそちらを普段着で身に着けるような彼女の友人もいた。(ただ歴女だった小生の元カノは蚤の市で18世紀以前のアンティークジュエリーをリーズナブルな値段でみつけることに執念を注いでおり、たいてい「そのブローチいいね」なんて誉めようものならそこからフランス史の講義が始まるという。)

アクセントの色などは十人十色だろう。いわゆるコスメでいうパーソナルカラーもあるだろうし。実際当時のパリ女達もとにかく人と違う自分のオリジナルなワンポイントアクセントを競っていたようだった。

(ちなみに彼女の例では、ワンポイントアクセントでよく選ぶのが紫系だそうだった。ただ彼女は一応生粋のパリジェンヌでしかもお母さんが女優という普段地味だがやはりどこか翔んだカップルところがあったようで。紫系の色が「Basic」もしくはパリのフレンチシックの隠れたポイントかどうかはやや疑わしい。)

(もはやノロケなのか追憶なのかお見苦しい次第だが。当時彼女から贈られたネクタイはやたらギラギラした光沢系の紫のネクタイだった。当時からじじむさく茶系ばかりだった地味な小生は気おくれしたが「こういうの着けないとダメ」と叱られた。一度だけせっかくなのでと職場につけていったら何事?とひかれた。まさか歌舞伎町で夜のバイトはじめたか?とか。当時も今も紫ネクタイは箪笥の隅で静かに眠っている。)

4.古着・アンティーク

冒頭にふれたので繰り返しになって恐縮だがとにかく90年代当時でもパリジェンヌ達は古着やアンティークを愛着していた。

服があたらしいものでも、アクセサリーはアンティークにするとか。ジーンズにシャツでもビンテージ・パンプスとか。なにかしら組み合わせているらしい。

ビンテージといってもポイントは値段ではないそう。安かろうが高価なものだろう。その時の装いにあわせて、ちょっとしたウィットを効かせる。

どんなものを選ぶかは人それぞれ。センスというか個性。いま思い返せばそれぞれに何らかのストーリー性のあるモノ選びをしていたのかもしれない。

とにかくフランス人の多くはアンティーク、日本でいえば民藝の類は目がないとのことだった。

(余談)パリジェンヌは関西人?(笑)

なにやら柄にもないことをつらつら書いてしまったが、当時の彼女たちのファッションやら買い物やらにつきあっていてよく思ったのが(あんたら関西人やな)という件(笑)。

もしかしたら、フレンチシックやら、「Bacic」なんちゃらいうても、要は浪速のおばはん ご婦人のみなさまにも通じる感覚。なのかも。

ひまわりさん
ひまわりさん

(余談)パリジェンヌは関西人?

ayCique 支配人
ayCique 支配人

そういやパリジェンヌ女子(当時)も「安くて良いものを見つけた時が一番うれしい!」とよく言ってたのを聞いて、ほぼ感覚が関西人やなと思いながら聴いてたのう(さすがにヒョウ柄は着とらんかったけど、笑)

まとめ

以上とりあえず記憶を辿って、思いついたままに書いてみた。

90年代当時のパリでは、フレンチシックという言葉はあまり聞かなかった。

同じようにシンプルでプレーンなもの、いわゆるベーシックを好むのはパリジェンヌの基本。その分、例えば服の生地素材などにはご熱心な様子だったこと。

また、古着やアンティークは値段を問わず好物。

さらにいえば、ワンポイントのアクセントは紫系など。

(フランスの色使いは、服に限らず、本の装丁、webサイトにしろ、紫や赤紫、中間色などが多い印象だが。)

以上、いわゆる「フレンチシック」にまつわる90年代当時パリでの筆者の体験談。

もしなにかご参考になれば幸い。

(追記)

ちなみにこれは20年前頃のフレンチシックが当たり前だったパリでのおはなし。最近では妙齢となった元パリジェンヌも、いまどきの若いフランスの子らはすぐ日本のハラジュクを真似して…とのこと(笑)

日本でも高円寺界隈にはフレンチ系の古着屋さんも最近ちらほらふえていて、そこのセレクトみてると、うんうんこんな感じだった、という店も。逆に、日本の若い人たちのほうが古き良きフレンチシックを受け継いでるのかも。

また機会があればフレンチ古着の話題なども。(いちおうむかし自分もフレンチ系古着屋で買ったりしたタグ違いのヴィンテージラコステなど当時はわりと血眼で熱中してたなぁ)

(参考記事)「」
※内容は異なるかもしれませんが、きっかけとしてこちらの記事に共感し、恥ずかしながら個人的な体験談を書かせて頂きました。モデルさんの着こなしも紹介されていました。未読の方にはおすすめの記事。
シャルロット・ゲンズブール
イネス・ド・ラ・フレサンジュ
エイメリン・バラデ
レティシア・カスタ
メラニー・ロラン、など

(編集後記)
個人的にはソフィ・マルソー特集とかカトリーヌドヌープとかフレンチ女優さん、特集もやってみたい…世代がばれるけど(笑)

そして、今年亡くなられたフランス・ギャルさんなど。フレンチポップス歌手の方のことも書いてみたいですね。この場をお借りしてご冥福をお祈り申し上げます。

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