50年代60年代音楽のレコードのアルバムジャケこそアートでファッションという話。
60年代までのジャケはアートワークだけでも素晴らしい。
レコードの魅力は音楽の楽しみとして名盤を聴くことはもちろん。ファッションやアートの愉しみとして「ジャケ買い」なども魅力のひとつではないだろうか。
そこで、ここでは個人的にジャケットがおすすめのアルバムをご紹介したいと思う。
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1950年代マンボブーム時代のRCAなど
まず思いつくのが50年代RCAレコジャケ。
1955年日本もマンボブーム。ダンスには情熱的なラテンの印象もあろう。レコードにはしっとりとしたアートの味わいもある。
1958年 TITO RODRIGUEZ – THREE LOVES HAVE I
1958年 TITO RODRIGUEZ – THREE LOVES HAVE I: CHA-CHA-CHA, MAMBO, GUAGUANCO
この1958年のマンボブームの頃のRCAのレコジャケは、私にとっては美術品。
Tito Rodriguez And His Orchestra* – Three Loves Have I
レーベル:RCA Victor
国:US
リリース:1958
ジャンル:Latin
スタイル:Mambo, Guaguancó, Cha-Cha
THREE LOVES HAVE I: CHA-CHA-CHA / MAMBO / GUAGUANCO [LP] [12 inch Analog] インポート
TITO RODRIGUEZ
※おすすめ曲は10曲目の cha-cha-cha-para ti など。チャチャチャのダンスBGMなどでも人気。
Tito Rodriguez Cha Cha Cha Para Ti
50s 60s Tito Puente
50年代60年代の ティト・プエンテの音楽は本当に素晴らしい名盤ぞろい。
王様 ティト・プエンテのジャケはヴィンテージ感がそそる。
ファッションの参考にはやや微妙かもしれない(汗)
下はよく似たベスト盤。 よく見ると後ろの左の女性のレトロワンピがしゃれおつかと。
こちらは、2005年頃にBMGから、2000年7月に死去したティト・プエンテの5周忌を偲んだRCA マンボ/ラテン 名盤リイシューシリーズ(全10タイトル)として紙ジャケが再発されている。
1956 Orquesta Aragon – That Cuban Cha-Cha-Cha
印象的な背景の色づかいもすでにポップだがジャケをよくみると男女のペアが踊っているサボール(sabor 味のある)ジャケ。
チャランガ編成(リズム、ストリングス、フルート)のキューバの代表的グループの1つオルケスタアラゴーンの1955年~56年頃の作品。
オルケスタ・アラゴーン (Orquesta Aragón)は1939年にキューバのシエンフェゴス(Cienfuegos)で結成された国民的グループ。
キューバではもともと戦前からダンソーンというゆったりめのダンス音楽、ソン・モントゥーノといった速いテンポのダンスパート、デスカルガとよんでいたジャムセッションなどがあった。それらがチャチャチャやマンボに影響を与えた。
おすすめ曲
1955 Orquesta Aragon de Cuba – Al vaiven de mi carretera
原題はAl Vaivén De Mi Carreta(邦題は「7.荷車ゆれて」)。ちなみに商品説明では「アル・バイベン・ミ・カレータ」の決定的名演が~と書かれている。おそらくそれは1999年にヒットしたAfro Cuban All Starsのカバー曲のほう。そちらはダンサンブルにアレンジされている。原曲はソン・グアヒーラのような哀愁のある曲。いや、もちろんどちらも良い曲。聞き比べでどうぞ。
1999年 Juan de Marcos Afro Cuban All Starsのカバー曲。日本でもヒット。あの頃90年代ティンバ黄金期を思い出す方もいるのでは?
Al vaivén de mi carreta · Afro Cuban All Stars
Distinto, diferente
1999 World Circuit Limited, a BMG Company
Producer: Juan de Marcos Gonzalez
Composer: Ñico Saquito
ちなみにグアヒーラ(Guajira)といえばフラメンコもあるが動画はまた別の機会に。
(余談だがフラメンコのグアヒーラはやや明るめのノベルティのある曲といわれたりするので少しややこしい。ルーツはカリブや中南米の農民(グアヒーロ)の民謡だったことは同じ。キューバでは農民の哀歌を謳うテーマが多く哀愁をおびたソン・グアヒーロになり、スペインでは昼の日当たりの良い農民をイメージしたフラメンコ・グアヒーロになったというと妄想が過ぎるだろうか。日本でソンがルンバとよばれもともとサンテリアから派生した土着系アフロリズムのルンバが歌謡曲になり、ブラジルのファベーラの哀歌も多く演歌調でも歌われるサンバがハレのカーニバルのイメージだけでマツケンサンバになったのと似た構図かもしれない。ほんまか😅)
50s 60s Jazz, Soul, Brasil など
もちろんジャズやソウルミュージックのアートワークもたくさんある。
だが、50sモダンジャズや50年代R&B、60年代ブラジルボサノヴァなどメインストリームでがっつりジャケを選び始めたらキリがないのでここではさらりとふれるだけにする。
50s 60s Jimmy Smith
The Incredible Jimmy Smith* – Crazy! Baby
ジャンル:Jazz
スタイル:Hard Bop
年:1960
レーベル:Blue Note
個人的に好きなジャケはジャズならジミースミスの作品。
60s Booker T.& The MG’s
1967 Booker T.& The MG’s
ソウルミュージックならブッカーT.& The MG’s。
とく60年代のスタックスはまさにソウルミュージックの黄金期。
60年代までのジャケはアートワークだけでも素晴らしい。
70年代も前半まではなかなか。
70s Quarteto Em Cy
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Quarteto Em Cy – Quarteto Em Cy
ジャンル:Latin
スタイル:MPB
年:1972
こちらはブラジルのコーラスグループ、クアルテート・エン・シーの72年作品。ヒッピールックが時代感。
日本でいえば沖縄のEVE(イブ)を連想してしまう私。エンシーのファンなら60年代エレンコがまず浮かぶだろうが個人的には70年代も好きなのです。
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1974 Aldemaro Romero & Charlie Byrd -Onda Nueva the New Wave
どの年代のジャケがよいか?
※個人の感想。
戦前もキューバやトリニダードなど当時流行った音楽ではアートワークにも力をいれたよいレコジャケがある。(それにデザイン以前に歴史的価値がある。)
ただ、やはり一般的にいって一番レコジャケが充実していたのは戦後から50年代、60年代あたりだろう。
50年代ジャズのアルバムジャケが素晴らしいことはご存じの方も多いと思う。
70年代後半以降は正直きびしい。
(ジャケ的にはこの頃が谷間なので、個人的にはどんなに音が良くても配信でもいいかと思ってしまう。)
80年代はキューバモノ以外は痛い。
(80年代キューバは社会主義時代でその頃のタイムラグがいい意味でヴィンテージ感を醸し出している。当時はマーケットへの流通が少なかったため、例えば80年代のロスバンバンのアルバムジャケなどは海外のレコードマニアには垂涎の的。残念ながら2000年代までには欧米やカナダのキューバ系レアグルーブDJあたりにや掘りつくされた感もある。もしかしたら現地にはお宝が眠っているのかもしれない。いや、あっても高値だろうけど。)
90年代以降は・・・以下、省略。
まとめ
音楽配信が主流になった今の時代、フィジカル音源の魅力は音の質感もさることながらジャケである(断言)。
とくに、紙ジャケや原盤ジャケのリイシューものは音楽はもちろんのことモノとしての魅力も大きい。
例えば、レトロ・ファッションなどのコーデで迷ったときなど、こうした50s, 60s, 70s前半あたりまでのレコードジャケットこそ最強のファッションのオテホンではないだろうか。
音楽ネタは別の機会に譲るとして、この記事ではとくにファッション雑誌などを愛読されている方にもレコジャケというレコードのもうひとつの楽しみ方をおすすめしたい。